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2016-07

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いろいろ考えたが、ちょっと距離をおくべきかなと思っている。

それはそれで勇気はいる。
先生への思いを断つわけだから。
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俺と二人っきりになるのは嫌なようだ。
他の誰かを必ず同席させようとする。
情けない。
何でこんなに急に変わったのだろう。

俺が挨拶しても無表情。
それに引き換え別の学生には満面の笑顔だ。

俺が話をしていても、あまり返事をしない。
先生の話に俺が答えても適当に返される。

①俺が何か気に触るようなことを言ったのだろうかと気になる。
②もっと楽しい話をしなければいけないと思う。
③そう思うと焦りだし、なおさら楽しい話ができなくなる。
④ついネガティブな話になり、これまた受けなくなる。
⑤①へ戻るの繰り返し。

会話だけではない。
教員独特の多くの学生に目配せするような話し方がある。
話してる最中、常に左右、前後の学生を見ているのだが、とにかく俺の顔はみない。
俺の右隣の奴の顔を見ていたと思うと、俺を飛ばして左隣の奴を見る。
以前は俺ばっかり見ていたのに。

終わったな。
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またまたやばくなってきた。

実はもう伊東先生から何かの指導を受けるというような状態ではなくなっている。
割と近い位置にいるから、そんなに寂しくはないと思っていた。
甘かった。
どんどん離れていくのがわかる。
それは見事にあっさりと先生の態度に出ている。

大学の大きな吹き抜けから、先生の研究室が見える場所がある。
ときどき先生は、吹き抜けに面した窓際の応接椅子に座ることがある。
いつもそれを期待して眺める。

たまたまその日の午前中は、他の教授と談笑している白いシャツの先生が見えた。
ラッキーだった。

午後にもう一度見ると若い女性と話していた。
先生の体の動きから、なんだか媚びている雰囲気がわかる。
なによりも、シャツがピンクに変わってる。
それだけで動悸がはげしくなった。

しばらく吹き抜けから出たり入ったりして眺めていた。
ふと見ると二人ともいなくなっていた。

二人でどこへ行ったのだろう。
俺は出口や門を探したが見当たらない。

あきらめて帰ろうとしたとき。
「なにやってるんですか!」
先生が声をかけてきた。
先ほどの女性はいなくなり、ピンクのシャツの先生一人だけだった。
いつもの先生ではなく、なんだか迷惑げな非難と嘲笑を含むような言い方だった。
恐らく上から、俺の行動を見ていたからだと思う。

俺はとっさに何も考えつかなかった。
「いえ、ちょっと」
といって会釈し、立ち止まらずに進んで行ってしまった。

以前なら色々と立ち話をしたものだ。
終わったな。
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結局、また元に戻った。

やはり明らかに疎外されている。
被害妄想?
俺もやばくなってきたのかな、なんて思ったりもした。
しかし、努めて客観的に見ても俺は避けられてる。

たまらなくなり、
「なにか気に触ることをしましたか?」とメッセージしてみた。
すると急に愛想がよくなる。


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みんなが帰ってからは、伊東先生と久しぶりにサシで飲んだことになる。
ただ、大勢で飲んでいたときの先生の会話が頭から離れない。

「そうです。そういうおしとやかな女性とお付き合いしたかったです」

なぜか茶道とか華道の話になったときに先生はそう言った。
確かに「したかった」だった。
なにが言いたかかったのだろう。
それは他の学生もそう思ったのか、みんな黙ったままだった。
先生の女性関係の話題はタブーではないけど、なぜか続かない。
なぜだろう。

居酒屋のトイレには小便器が2つあった。
俺が先にしていたら、先生が入ってきた。
俺の横が空いてるのに、先生は入り口で待ってる。
「僕、吉田さんが終わったらそこ使います」

「え?なんでですか?」
「…そこ、床が…」
となりの床を見ると大きく濡れていた。
俺の後は気にならないのに、そういうのは気になるのか。なんとも…

二人だけで飲み続けた。
先生がポツリと言った。

「吉田さんは○○○(先生の専門で俺が学んでる)って本当は好きじゃないでしょ?」
「…」
「じゃ、◇◇◇と●●●ならどっちがいい?」
「…●●●ですかね」
「だから吉田さんは本来○○○に向いてない」

一気に酔いが覚めた。
反論したい気もしたが、図星だった。
もはや先生が好きだから続けているだけかもしれない。
最近は薄々そう思っていた。自分の気持ちには嘘をつけない。
それは先生もお見通しだった。

それ以上その話はしなかった。
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